イヌリンは栄養上の性質に優れることから、食物製品に使用されることが近年増えてきています。シリアル大国アメリカのシリアルには、主に血糖値上昇抑制の意味で多くのシリアルに入っています。更に、イヌリンは腸におけるバクテリアの活動を増進させます。
イヌリンは砂糖や他の炭水化物と比較して3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含みませんし、脂肪と比べて6分の1から9分の1程度のエネルギーしか含みません。さらに、カルシウムの吸収を促進し、おそらくはマグネシウムの吸収も促進します。
栄養学的には水溶性食物繊維の一種として扱われ、多量に摂取すると(特に、過敏な人あるいは不慣れな人にとっては)腹部膨満をきたします。血糖に直接的に作用することはないですが、食後の血糖濃度上昇を抑制することに加え、腸内細菌による代謝産物がインスリン感受性を向上させることにより、糖尿病患者の血糖値を適切な水準に調節することが報告されています。そのため、血糖値異常に起因する疾病に対しての有効な食事療法の手段として期待されます。要は、巷に溢れいている美味しいものは、うどんやラーメン、パン、たこ焼きとだいたい炭水化物だから、罪悪感を感じる食事した時は、急いで、イヌリンを多く含むごぼう茶などを摂れば罪悪感と健康のバロメーターが目減りするのを緩和できます。水溶性食物繊維には、イヌリンと難消化デキストリンとポリデキストロースがありますが、腸内細菌の利用率100%はイヌリンだけです。わかりやすく例えるなら、イヌリンは学校の先生で、テスト前にここは絶対出るからなというのを、本当に絶対出してくれる先生のようなものです。どんな生徒でも、そこだけ勉強していれば、点が稼げるようなものです。変に裏をかいて、先生は、逆にここは外してくるだろうと勉強する範囲から外してしまえば、点数は取れません。逆に、難消化デキストリンやポリデキストロースは腸内細菌の利用率は高くありません。ここはテストに出るからなと言って、必ずしも出してくれない先生のようなものです。
どれくらい、イヌリンがすごいかというと、2型糖尿病の女性49人を対象にイヌリンを投与したところ、空腹時血糖値、糖化ヘモグロビン(HbA1c)などの低下が認められ、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)の活性が高まるなど抗酸化能力の増加が認められた。
※2型糖尿病:
型糖尿病の1番の原因は、不摂生な食生活や食べすぎである。人によっては遺伝的になりやすい場合がある。糖尿の約90%が2型糖尿病であり、その他10%は1型糖尿病と妊娠糖尿病である。
※糖化ヘモグロビン(HbA1c):
簡単にいうとドロドロ血の割合
※SOD(スーパーオキシドディスムターゼ):
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素である。酸素消費量に対するSODの活性の強さと、寿命に相関があると言われるが、これは体重に対して消費する酸素の量が多い動物種ほど寿命が短くなるはずのところを、SODが活性酸素を分解することで寿命を延ばしているとするものであり、動物の中でも霊長類、とくに人はSODの活性の高さが際立ち、ヒトが長寿である原因のひとつとされている。
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